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フィギュアスケートの最新情報や基礎知識などをブログに載せています。スケート業界では知られているものの、はっきりとは語られていないことやフィギュアスケートをする上で大切なことを考えていきます。

トリプル最高難易度のトリプルアクセルとは?

 今季グランプリファイナルで優勝したアリョーナ・コストルナヤ選手はトリプルアクセルを3度着氷しました。そのトリプルアクセルは、”トリプル”と名が付いていますが、3回転ジャンプではありません。3回転半ジャンプです。ダブルアクセルは2回転半ジャンプです。まず、フィギュアスケートのジャンプは、全部で6種類あります。その6種類ジャンプのうち、アクセルだけが前向きで踏み切って跳びます。そして後ろ向きに着氷します。

 ジャンプは全て、後ろ向きに右足で着氷します。トリプルアクセルは前向きで踏み切るのだから、前から着氷すれば3回転になるのでは?と思うでしょう。実は、前からは着氷できないのです。なぜかというと、スケート靴には、靴の前方にギザギザした刃が付いています。これを”トゥ”と呼びます。前から着氷すると、そのトゥ(つま先)が引っ掛かるからです。引っ掛かるとスムーズな流れるようなランディングが難しくなります。だから、トリプルアクセルは3回転半なのです。

 トリプルアクセルはダイナミックなジャンプです。トリプルの中で得点が1番高く、難易度が1番高いです。(右利きの場合)右足で後ろ向きから滑ってきて、(反時計回りに)振り返り、前向きになりアウトサイドエッジの左足で踏み切り、右足を振り上げながら、おりゃーっと思い切り跳び、左回りに3回転半します。そして後ろ向きに右足で着氷します。

 かつて、トリプルアクセル浅田真央選手の必殺技でした。女子では、日本の伊藤みどり選手が世界で初めてトリプルアクセルに成功しました。最近では、紀平梨花選手がトリプルアクセルを武器に活躍しています。伊藤みどり選手は、ジャンプに飛距離がありました。浅田真央選手は、ジャンプに高さがあり回転が速いです。飛距離も高さも兼ね備えた選手がロシアのアリョーナ・コストルナヤ選手です。

 最近は、女子でトリプルアクセルができる選手が増えてきましたね。今季の全日本ジュニア選手権(女子)で数人がプログラムに入れていました。コストルナヤ選手の他にロシアでは、エリザベータ・トゥクタミシェワ選手が得意としています。アレクサンドラ・トゥルソワ選手も今季グランプリファイナルで(初めて)挑戦しましたが、失敗してしまいました。他にも、アメリカの長洲未来選手やアリサ・リュウ選手が可能です。

  フィギュアスケートには、アクセルジャンプが必須なので、女子ではダブルアクセル(2A)の替わりにトリプルアクセル(3A)ができれば、鬼に金棒ですね。トリプルアクセルの略称は3Aです。男子では、トリプルアクセルができなければ、世界で競うことは難しいでしょう。4回転ジャンプよりも3回転半ジャンプの方が習得しやすいでしょう。羽生結弦選手の3Aは美しいです。前向きで踏み切るため、恐怖心がある選手もいるようです。ネイサン・チェン選手は他のジャンプに比べて3Aに少し苦手意識があるようですが、試合では成功しています。

 私の中では、浅田真央選手の3Aが深く印象に残っています。当時は、3Aができる選手はほとんどいませんでした。それだけ特別な存在でした。浅田選手は、常に3Aに挑戦していました。その姿が若い選手の目に映り、現在の女子3A時代が到来したのかもしれません。幼い頃の浅田選手の目に伊藤みどり選手が映っていたように。

 

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