コイントス

フィギュアスケートの最新情報や基礎知識などをブログに載せています。スケート業界では知られているものの、はっきりとは語られていないことやフィギュアスケートをする上で大切なことを考えていきます。

レジェンド羽生結弦の苦悩とネイサン・チェンの今があるのは、前回の続き他

 前回の記事で羽生結弦とネイサン・チェンについて書きましたが、ふと思い出したことがあるので、続きを作成しようと思います。北京五輪2022の閉幕後に、羽生の演技について「期待している人や応援している人がいるのだから、自分勝手に博打(暴走)して、日本国のことを考えていない」というような意見もありました。まあ、日本代表に選ばれたからには、日本代表として相応しい演技(結果)を望む人もいるでしょう。前回の記事にも載せましたが、羽生レベルであれば、銀や銅メダルを獲得できるチャンスはあったでしょう。周りがファンやメディアが部分的に「レジェンド羽生」を作り上げてきたような印象があります。それだけ羽生がフィギュアスケートで良い結果を出し続けていたからなのですが。絶対王者、唯一無二の存在、レジェンド羽生など、散々、騒いで盛り上げて、羽生に期待を寄せ続けました。生活レベルを一度上げると、下げることは難しいと言われますが、それと同じで、ある一定の地位になると、もう下げられないのだと思います。レジェンド羽生を維持するプレッシャーは計り知れないものがあります。一流レベルの選手しか理解しえない悩みや苦悩があります。彼のプライドもあり、トップであり続けなければならないという思い、羽生は負けず嫌い、勝ち気であり、常に一番でありたい、ナルシスト、それらは画面を通しても伝わってきます。それが、スポーツと特にフィギュアスケートでは強い効果を発揮します。ナルシストであるから、自分自身に最も集中できますし、勝ち気な性格の方が競技する上でプラスに働きます。現役時代の羽生の周りに常にゾロゾロと人が集まり、多くのカメラに囲まれて、人気もありファンもいっぱいいて、またアンチも多かったように思います。知名度もあり、フィギュアスケートを知らない人であっても羽生は知っていると。そのような中で良いことも多々あったでしょう。また、常に見られている存在であり、気が抜けずストレスやプレッシャーも多々あったことでしょう。現役時代の羽生は、主にブライアン・オーサーコーチがいるカナダ(トロント)を拠点に練習していました。元フィギュアスケーターで韓国代表のキム・ヨナは、韓国(母国)では常に注目され、ストレスも多く、日常生活を送ることが難しい、と話していました。しかし、カナダ(トロント)ではキムを知っている人はほぼおらず、快適であると。異文化や言葉の壁のストレスはありますが、伸び伸びと練習ができていたのかもしれません。それと同様に、羽生も騒音から逃れた練習環境を望んでいたのかもしれません。まあ、キムの場合は、バンクーバー五輪2010に焦点を当てていましたから、カナダ出身のコーチを探していました。当時、オーサーは現役プロスケーターでコーチ業の経験はほぼ無く、キム側からオファーがあっても当時は渋っていたようです。この辺り、キムは巧みですよね。練習拠点をカナダに移し、カナダ出身のコーチに師事することで、カナダが第二の故郷のような存在になり、バンクーバー五輪2010でホームグラウンド的な応援を観客から得られますからね。まさにオリンピックで金メダルを手にするための策略ですよ。バンクーバー五輪2010後は、用無しになったオーサーとの契約を一方的に打ち切り、キムは(韓国へ)帰省します。その国々に良いコーチや先生がいますから、日本にも良い先生が多々います。海外で生活するメリット・デメリットはありますし、利用する側・利用される側、いろいろありますね。利用されたオーサーですが、キム・ヨナはオリンピックチャンピオンになり、キムを金メダリストに導いたオーサーは評価され、世界フィギュアスケート殿堂入りを果たします。その後のコーチ業は華が開き、羽生を2大会連続のオリンピックチャンピオンに導きます。オーサーはキムのおかげで有名コーチになったようなものです。まあ、キムも羽生も元から実力はあったわけですから、オーサーは強運なのでしょう。

 テーマが横道に逸れ過ぎて、いったい何について書いていたのか忘れましたが、あの頃、北京五輪2022のシーズンは羽生とネイサンの点数差があり、もうネイサンが失敗しなければ誰も勝つことができないレベルでした。勝利の流れや風向きもネイサンを後押しするような雰囲気がありました。最も金メダルに近い選手だったわけです。ネイサンには勢いもありましたし、肉体的も技術的にも選手として良い時期だったと思います。

 人気面では、ネイサンより羽生の方が圧倒的な差があり、特に母国からのファン層の厚みが、もう演技後にスケートリンクへ投げ込まれるプレゼントの数が雨のように降り注ぎます。海外の解説たちは、この現象を見て「何てことでしょう!デンジャラス(危険です)!」と驚いていましたよ。羽生だけプレゼントの数が山盛りなのです。何といっても私が驚いたことは、北京五輪2022での演技後の新聞の記事です。カラー写真と共に羽生の結果が一面掲載されました。スポーツ欄もほぼ羽生記事でメダリストの宇野と鍵山の結果は端に小さく掲載されていました。それだけ、羽生は国民から期待され、話題性もあり、人気があったことを証明しています。ネイサンも母国アメリカで人気があるでしょう、オリンピックチャンピオンですから。フィギュアスケートアメリカではマイナースポーツであり、アメリカで一番人気のスポーツはアメリカンフットボールNFL)です。ネイサンの場合、あのキリリとした目つきに早い口調、そして小柄、ずる賢くないのですが、なぜか少し計算高いイメージがあり、スマートというべきなのか、アメリカ人は、計算高くて賢いヒーローを嫌う傾向にあります。なぜかネイサンは羽生ほど人気がないように感じますね。ネイサンのインタビューを聞いていても謙虚で他人への尊重心がある好青年ですよ。数年前だったかな、羽生のインタビューの話し方なのか、(羽生は)ベイビーのようなふひゃふひゃした返答と、遠回しに揶揄というか何というか、ネイサンはそう思ったのかもしれませんね。そんな場面もあり、羽生であれば4回転アクセルをできるよ、と適当というか挑発的な発言もあり、そんな場面もありましたね。もっとはっきり言えよ、と羽生に対して彼はイラついていましたね。また、羽生がこれまでに成し遂げたことや2大会連続オリンピックチャンピオンであることを尊敬しているとも答えていました。

 ネイサンがティーンエイジャーの頃と現在で大きく変わったところは、お世話になった人への感謝や敬意の言葉を口にするようになりました。そして、ネイサン「私が試合で勝っても負けても、世界は動いている。未来を見過ぎず、今を大切にしている。」と。彼は新型コロナ禍に指導者としてコーチの資格を取得しました。現在、大学でデータサイエンスや統計学を学んでいます。将来はお医者さんを目指しています。

 マイケル・ワイス財団をご存じでしょうか?1990年代から2000年代半ば頃までアメリカ代表のフィギュアスケーターとして活躍していたマイケル・ワイス選手、そう彼が設立した奨学金制度を運営する財団です。将来有望な若い選手を金銭面で支援する制度です。ネイサンは5人兄弟の末っ子です。お金に余裕の無い家庭環境だったのでしょう。体が成長すれば新しいスケート靴が必要になります。そのスケート靴などの資金をマイケル・ワイス財団は支援しました。その後もワイス財団はネイサンの支援を継続します。ネイサン「私の今があるのはマイケル・ワイス財団のおかげである。マイケルが私を援助してくれたように、将来、若手スケーターたちを助けることにとても興味がある。」と。人生の大半の時間をスケートに注いできたネイサンですが、スケート以外の時間も重要視しているようです。自分の結果のみにこだわらず、長い視野でスケートに対して貢献しようとする気持ちは立派ですね。

 

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