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フィギュアスケートの最新情報や基礎知識などをブログに載せています。スケート業界では知られているものの、はっきりとは語られていないことやフィギュアスケートをする上で大切なことを考えていきます。

ロシアのトップアスリート養成機関サンボ70、強さの秘密に迫る<後編>

次々と未来のメダリスト候補を生み出すフィギュア王国ロシアの練習方法

 練習は柔軟運動に始まり、伸びやかに体を使うためのバレエのレッスン、より美しく、より正しく滑ることを目的とし、男女合わせて10人足らずの10代の生徒が練習をともにします。フィギュアスケートのためだけの専属バレエ講師がおり、フィギュアレッスンを行います。

 さらに、ジャンプに必要な脚力や筋力を鍛えるため、何種類にも渡る練習メニューが事細かに組まれています。そして、陸上で3回転ジャンプの練習、トップ選手でも陸上での2回転半以上は至難の技です。それができる選手がサンボ70には、ざらにいます。陸上トレーニングは2時間半以上も続きます。これはまだ準備運動で、これらの基礎練習を終えると、ようやくリンクへ移動します。氷上トレーニングの他に陸上トレーニングがあり、バレエやダンスレッスンなど、それぞれ専門の指導者が付き、チームで選手を育成しているのです。平昌オリンピック金メダリストアリーナ・ザギトワ選手もこれらの基礎練習を行ってきました。

 それから、氷上でもスケーティングの基礎を30分間練習します。そして、いよいよジャンプの練習が始まります。その練習内容が超スパルタで、90分間休むことなく続けられます。本番さながらの動きに日々挑み、技の成功率を上げているのです。フィギュアスケート1曲分の体の負荷は、長距離走を全力ダッシュするほど体力をつかいます。それを10曲分は継続します。この練習方法がサンボ70の強みだったのです。

 休むことなくハードなトレーニングをこなしていた時、エテリ・トゥトベリーゼコーチが怒鳴ります。突然激怒し、選手に徹底的なダメ出しをします。この特訓のおかげで、手の先、足の先、そして全身をつかい訴えかける演技ができるようになります。ザギトワ選手が圧巻の技術と美貌を備え、最年少15才世界を制することができた強さの秘訣です。

超エリート選手たちの日常

 休息する暇は一切なく、大会から帰国した翌日に選手たちは練習を再開します。「こういう怒られて辛い日がよくある。毎日毎日あきれるくらい練習しているけど、日が暮れて帰る頃には、すごく満ち足りた気分になる。」と毎日涙が込み上げるほどの鬼レッスンに耐えるザギトワ選手は言います。平均して一日8時間にも及ぶスケート漬けの日々を彼らは送っています。とてもストイックです。フィギュア超大国のロシアが生んだアスリートたちは、厳しい練習があるから、結果を出すことができるのです。

 私たちが知られざる彼らの日常には、表面化することがない鬼気迫る努力が、涙するほど辛い努力があります。多忙な日々を過ごすザギトワ選手の支え、日本からザギトワ選手に贈呈された秋田犬マサルがいます。外出する機会をマサルがつくってくれるそうで、その人気を買われ日本企業とマサルがスポンサー契約を結んでいるとのこと。

まとめ

 エテリコーチの厳しい指導のもと鍛え抜かれてきたアスリートの中には、女子で4回転を跳ぶ選手は現在5人ほどいるそうです。トリプルアクセル(3A)ができる選手は、もっと多いそうです。

 この世界最高峰のチームが注目を浴び、フィギュアスケート界の歴史を変えた3人の選手がいます。安定した3Aと高い表現力をもつアリョーナ・コストルナヤ選手、最高難度の大技4Lz(4回転ルッツ)を武器とするアンナ・シェルバコワ選手、5種類の4回転を操るアレクサンドラ・トゥルソワ選手。試合では華麗な跳躍を披露していますが、天才と呼ばれる少女たちも、こうした努力の積み重ねの上に、大技4回転ジャンプの習得があったのです。

 

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