氷の硬さは競技で異なります。競技の特性により、適した氷の温度が違います。氷は、温度が高いと柔らかくなり、低いと硬くしまった氷になります。一般的に、アイスホッケーは、とても温度の低い硬い氷、スピードスケートは低めの温度で硬めの氷、フィギュアスケートは高めの温度で柔らかめの氷が適しています。
滑りやすい氷をつくることは重要です。スケートリンクの氷は、厚さ数cmです。水(お湯)を薄くまき、凍らせる作業を繰り返します。この作業でつかわれる水は、お湯のことです。純水を温めたお湯を凍らせることで、一つ一つの結晶が大きな氷ができます。スケートで滑る場合、結晶が大きい氷ほどよく滑ると考えられています。
試合中、定期的に競技を中断して専用の機械で氷の表面を平らで滑らかにする整備も(高速)リンクに重要なことです。フィギュアスケートも、試合の途中で氷の表面を整える(整氷)時間が設けられます。スケート靴の刃(エッジ/ブレード)で氷の表面を削りながら滑るため、リンクはデコボコになります。その凹凸(おうとつ)を整える時間が(6分間練習の前に)あります。
高速リンク実現のためには
スピードスケートでは、滑りやすく、良い記録が出やすいスケート場を高速リンクと呼びます。スケートリンクを滑る選手は、常に正面から押されるような空気抵抗を受けます。より速く滑るためには、この空気抵抗が小さいほど好都合です。標高が高いところでは、気圧が低いため(空気が薄いため)、滑る時の空気抵抗が小さくなります。よって、標高が高く、空気抵抗の小さい場所にあるスケート場では、容易に速く滑ることができる可能性が高まります。スピードが上がれば、それだけカーブを曲がりづらくなりますから、感覚が狂ってしまい、かえって悪い記録になることもあるでしょう。
スピードスケートの種類
スピードスケートは、タイムを競う競技と順位を競う競技の2つに分けられます。それぞれ、使われるスケートリンクの大きさにも違いがあります。1周400mでレーンが分かれているスケートリンク(ダブルトラック)をつかう競技のスピードスケートと、1周111.12mでレーンが一つのスケートリンク(ショートトラック)をつかう競技のショートトラックがあります。
一般的に、スピード勝負となるダブルトラックでのスピードスケートは、日本人よりも手足が長く、体重で勝る西洋人が有利と言われています。スピードよりも技術の駆け引きが勝負の鍵を握るショートトラックは、体格の小さなアジア選手でもトップ争いができると言われています。