グレイシー・ゴールドの現在、ソチ冬季五輪から約7年後

 来年は東京五輪が開催される予定です。その数か月後に、北京五輪(2022年)が開催されます。コロナウイルスの影響があり、アメリカでは、International Selection Pool (ISP) Points Challenge インターナショナル セレクション プール (ISP) ポイント チャレンジが今年(2020年)の9月上旬から10月上旬にかけて行われました。これは何かというと、アメリカの国内大会のようなものです。米国フィギュアスケート連盟が主催したバーチャルな大会であり、無観客です。ルールに従い、個々でSP(ショートプログラム)とFS(フリープログラム)を撮影し、審査員に提出します。アメリカ国内から100人以上のフィギュアスケート選手が出場します。チャンスは2度あり、得点が良い方のプログラムで順位を競います。各々が用意した練習場や拠点リンクで撮影しています。たぶん、撮影者はコーチや関係者(スタッフ)でしょう。そのバーチャル大会の動画を見ましたが、少しぼやけていたり、細部が見ずらいこともあり、やはり大会用のカメラマンの映像とは違います。連盟は、この試合結果を参考の一つにし、国際大会や国内大会に出場する選手を決めるのでしょう。男子シングルの優勝者は、もちろんネイサン・チェンです。女子シングルの優勝者はマライア・ベルでした。

 私が注目していたのは、グレイシー・ゴールドでした。昨季の全米選手権では、総合12位。あれから半年以上が経ち、ISP ポイント チャレンジでは10位以内とはなりませんでした。この大会では3回転を着氷していましたし、コンビネーションジャンプも成功しましたが、6割ほどの出来だったのかもしれません。その後のISUグランプリシリーズアメリカ大会では、SP、FSともに12位(12人中)でした。総合得点127.82点で最下位です。今年のアメリカ大会は、出場選手の多くはアメリカ国籍であり、国内大会のようなものでした。 シングルの優勝者は、ISP ポイント チャレンジの優勝者と同様、チェンとベルでした。

 グレイシーはインタビューでピークは18才の頃だった、と話していました。彼女が18才の頃といえば、ソチオリンピック(2014年)のシーズンですね。彼女がSPで着用していた赤い衣装がとても似合っていて、素敵でしたね。なんて美人なのだろう、と。その年の全米選手権(2014年)で彼女は初優勝しました。当時は、コーセー(化粧品)のスポンサーをはじめ、ナイキ、ユナイテッド航空、P&GやVISAと契約していました。現在は、どうなのでしょうか。今年は、Julep BeautyのCMに出演していました。Julep Beautyはアメリカの化粧品会社です。

 アメリカ人は復活劇が好きです。グレイシーが(優勝争いできるような位置まで)戻ってきてくれることを期待している人は多いと思います。私もその一人です。ですが、現実は厳しいものがあります。アメリカ大会では、コンビネーションどころか3回転ジャンプが2回転になることもあり、以前のような輝き(輝いている姿)を見ることはできませんでした。優勝したベルとの点差は約85点。その試合の(グレイシーの)ジャンプ構成は彼女が活躍していた時期と同じ構成でした。彼女は完璧主義者なところがあり、妥協できないかと思いますが、現在の彼女には、(ジャンプ構成の)レベルを少し落とす必要があるでしょう。3-3(3回転連続コンビネーション)ジャンプができないようでは、試合で良い成績を収めることは難しいでしょう。彼女(の演技)を見ていると、(3回転)ジャンプが2回転になるミスが多いように思います。そもそも3回転を跳ばなければ、話にならないため、自分ができる範囲の構成にしたほうが良いかもしれません。グレイシーが一番分かっていることだとは思いますが、このままでは次の北京五輪への出場どころか、全米選手権への出場も危ぶまれます。

 練習で出来ないことは、試合で出来るはずがありません。偶然はあるかもしれませんが、可能性はとてつもなく低いでしょう。ジャンプの確率を例にあげると、練習で確実にできるジャンプ(100%)は、試合での成功率は80%になります。練習で100%できるからといって、試合で100%できるかといえば、そうではありません。だいたい、確率が20~30%は下がります。練習で3回中、2回成功するならば、試合では2分の1の確率になります。常に安定した結果を得るためには、練習で高い成功率が必要になります。彼女の練習を見ていると、練習でも(ジャンプの)失敗が多く、それがそのまま試合につながってしまっています。彼女の頭には、(過去の)活躍していた頃の記憶があるため、それが彼女を苦しめているようにも思います。過去にできていたのだから、現在もできるはずだと。何が辛いかって、(現役)スポーツ選手にとって、過去にできていたことが(現在は)できなくなることが一番辛く苦しいことなのかもしれません。

TOPに戻る