コイントス

フィギュアスケートの最新情報や基礎知識などをブログに載せています。スケート業界では知られているものの、はっきりとは語られていないことやフィギュアスケートをする上で大切なことを考えていきます。

ロシア薬物の闇:後編

 スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、ロシアのカミラ・ワリエワが北京五輪2022のフィギュアスケート個人戦に出場することを許可しました。彼女の体内から禁止薬物のトリメタジジンが検出されました。モスクワの薬局でトリメタジジンを処方箋なしで手軽に購入することができます。インターネットの販売サイトでも購入可能。ロシア製の他にドイツ製など数種類ありました。カプセル60個で含有量は80mg、値段は日本円で約3,500円。

ロシア国家ぐるみドーピングの手口

 有名どころでは、口の粘膜から吸収させる方法です。禁止薬物を溶かしたアルコールを口に含み、頬の粘膜から吸収させた後、そのアルコールを吐き出します。そうすることによって、経口摂取や注射よりも陽性反応があらわれる期間が短くなります。こういうことを指導する医師もおります。また、人間は体調不良などにより、代謝が遅れることがありますから、そうなると陽性反応が出る期間は長くなります。つまり、計画が狂うこともあるわけです。計画通りにいかず、ドーピング検査で陽性になってしまったケースが多々あります。

 分析機関で保管されていた検体とクリーンな尿をすり替えて隠蔽工作をする手口もあります。現在はボトルが改造されたため、このような手口は使えません。その隠蔽工作により、ロシアの分析機関は資格喪失に。

 そのため、(新型コロナ渦で)ストックホルムの分析機関まで運送する必要がありました。検体の採取から陽性反応の通告まで時間がかかった理由は、そういうことなのです。ただ、採取から報告までの時間がかかり過ぎなような気もします。ロシアの分析機関はWADAとの関係下で信用されず、(分析機関として)認められない状況が続いています。

ロシアがドーピングを行う背景:勝利至上主義

 世界反ドーピング機関(WADA)の報告によると、ロシアは不正行為の根強い文化があり、「何がなんでも勝つ」という考え方が現在の選手に受け継がれたと。また、プーチン大統領は、スポーツでの勝利は、100の政治スローガンよりも国民を団結させるんだ、とシドニー五輪の壮行会で話していました。国威発揚を選手に期待するような(プーチン五輪選手団の)会談がありました。スポーツと政治の関係性、スポーツでの勝利が政権の正当性を証明するようなことは昔からありますからね。ロシア国民は冬季スポーツが好きです。アイスホッケーとフィギュアスケートは国民の注目の的になっています。

ソチ五輪2014では、ドーピング疑惑により一部のメダルが剥奪されています。

 

 メダルを獲得すると、政府から選手に報奨金や高級車などの贈与されます。また、メダリストのコーチにも報奨金が贈与されます。報奨金額は、選手のシーズン結果や、メダル獲得数など選手育成への貢献度に応じて決定されます。好待遇が待ち受けています。

 

 勝利手段主義、国が選手をつかい、何が何でも勝たせる、勝利を手段としてつかうことで、国家ぐるみのドーピングにつながっているのかもしれません。スポーツへの関心や興味の歪みを感じました。

 

 国際スケート連盟IOC)は、フィギュアスケーターの心身の健康を守るため、年齢制限を段階的に引き上げる提案をしています。今年のISU総会で議題にあげることが予定されています。

フィギュアスケート出場年齢制限

 大会開催直前の7月1日時点で15才に達していれば出場可能。これは、フィギュアスケートは、7月1日からシーズンが始まるため、この日が起点となります。年齢制限を設ける理由は、難しいジャンプによって生じるストレスに若い身体の準備が整っていないため、とされています。オリンピック憲章では、五輪出場の年齢制限は無く、各競技団体の判断に任せられています。

 若年者が一番輝ける時、例えばピークが15才である場合、そのピーク時に五輪への出場が断たれることの議論もあります。ワリエワのような15才の少女に国を背負わせること、国の代表になる責任をどれほど負えるのか、その辺りが議論されるでしょう。

 

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