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フィギュアスケートの最新情報や基礎知識などをブログに載せています。スケート業界では知られているものの、はっきりとは語られていないことやフィギュアスケートをする上で大切なことを考えていきます。

ワリエワ、苦しい主張とメダル逃し泣き崩れる:北京五輪2020

 ドーピング騒動で渦中の女子フィギュアスケート選手であるカミラ・ワリエワ北京五輪2022で金メダルに最も近い選手として、彼女以外に誰が(金メダルを)手にできるのだろうか、とまで言われていました。シニアデビュー以降、ワリエワは勝ち続け、負けなしでした。絶望という異名まで付くくらいですからね。個人SPは、3Aの着氷を失敗しましたが、それでも暫定トップに。FSは、最終滑走で登場しました。彼女の過去の成績から、誰もが彼女がメダルを獲ることを確信していたことでしょう。しかし、まさかの、、ジャンプに精彩を欠き、次々とミスが続きました。それは今まで見たことのない光景でした。これほどまでに崩れた彼女の演技に驚きました。

 この騒動渦で動揺したのでしょう。周囲から疑いの眼差しを向けられ、薬物問題を騒がれ、これほど辛いことはないでしょう。ただ、彼女の主張(言い訳)は苦しいものでした。祖父の薬を誤飲したと説明していましたが、祖父と同じワイングラスや食器を使用したため体内に入った可能性があると主張。今回のワリエワと同じ主張で処分を免れた選手が過去にいましたが、これね、(祖父の)トリメタジジンは経口薬(飲み薬)なのですよ。服用時は薬を口に含み、水などで流し込むわけですから、コップなどの食器に薬が付着することは、んー、不可能に近いかと思うのですが、どうでしょう。ロシア側は、検出された量は少量と説明していましたが、過去に陽性になった選手の20倍近い値でしたから苦しい主張に聞こえました。クロでしょう。

 

 禁止薬物のトリメタジジンの他に、心臓の疲労を和らげる薬、心筋の保護や呼吸を楽にする薬、これらは薬というよりもサプリメントに近いのですが、この2種類の薬を飲用していたことも判明しています。この3種類を服用することで(持久力を高める)相乗効果が期待できます。

 昨年12月、ロシア国内大会の時期に検体を採取した結果が、どうして今、問題になっているのでしょうか?それは、スウェーデンの検査機関に調査を依頼したこと、そして新型コロナ渦ということもあり、その輸送や諸々の手続きなどに遅延があったために、この時期に結果が出ました。個人戦を控えたタイミングで陽性判定でしたからね。団体戦では、伸び伸びと滑っており、彼女らしさが発揮されていましたから、やはり動揺し、精神的な問題を抱えながら、試合に出場することになったのかもしれません。

 過去に、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)がデータ改ざんをしていました。そのため、世界反ドーピング機関(WADA)は、ロシア反ドーピング機関を信用していないのです。ロシアは国家ぐるみ、組織ぐるみでドーピングに関与していた疑惑があります。組織的な薬物依存をうかがわせます。

 今回のワリエワの件は氷山の一角でしょう。ドーピングは、いたちごっこと言われ、うまく通り抜ける薬を開発しては、それが違反対象となれば、新たな薬が開発されるといったように、次から次へと、新薬の開発が行われています。

 

 ワリエワは、ロシアの首都モスクワから東へ約7000kmの都市、カザン出身です。2018年頃、本格的にフィギュアスケートに打ち込むため、お母さんと共に故郷カザンからモスクワに転居しました。そして現在、エテリ・トゥトベリーゼに師事しています。トゥトベリーゼは、多くのトップ選手を育てた功績が称えられ、2020年に国際スケート連盟から最優秀コーチ賞を贈られました。彼女は、世界選手権二連覇のエフゲニア・メドベデワや平昌五輪2018金メダリストのアリーナ・ザギトワを育てた名コーチです。

 大人びて見えても、まだ15才のワリエワ。4月生まれだから、もうすぐ16才になりますね。「ロシアの名誉のために頑張るわ!」と答えていた彼女ですが、悲しすぎる結末となりました。団体SPでは、自身の世界最高得点に迫る90.18点。団体FSでも、178.92点と異次元の滑りを披露し、ROCを金メダルに導きました。

※ワリエワはSPとFSで世界歴代最高得点を保持しています。SP90.45点(欧州選手権2022)。FS185.29点(GPロシア大会2021)。総合272.71点(GPロシア大会2021)。

 

 誰もが予想していなかった、何が起こるか分からないものですね。稀なケースかと思いますが、今回のようなこともあります。また、試合前の練習で怪我をする可能性もありますし、また、このご時世では新型コロナに感染し、出場を辞退せざるを得ないこともありますから。ビンセント・ジョウ(アメリカ)は、今季グランプリシリーズのアメリカ大会でネイサン・チェンを破り、優勝しました。今シーズンはとても良いスタートを切り、好調でした。五輪団体戦後に新型コロナ陽性になり、個人戦は棄権することに。。

 

 ワリエワは、個人FS演技後、キスアンドクライで大号泣。悲しみの涙となりました。それでも、(暫定)4位入賞です。そして、銅メダルの坂本は満面の笑み。銀メダルのトゥルソワは結果に満足しておらず号泣。金メダルのシェルバコワは(ワリエワの件もあり)複雑な表情でしたが笑顔もありました。4回転5本に挑んだトゥルソワ、男子並みの演技構成でしたが、それでも銀メダル。大技トリプルアクセルを成功させても、バンクーバー五輪2010で銀メダルだった浅田真央を思い出しました。真央ちゃんも悔し涙の銀メダルでした。様々な顔が見えた五輪のフィギュアスケート戦でしたね。

 

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